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園長が大切にしてること
【こどもに育んであげたいチカラ その5-2】 社交性【後編】 ~大人が心の交通整理役になろう~
ぼくたちはこどもたちの立ち上がるチカラを育むため、
能力やスキルなどといった知的能力だけでなく、
やりきる力やがまんする力といった潜在的な5つのチカラを育むことを大切にしています。
それは
やり抜くチカラ やる氣 自制心 社交性 協調性
この5つチカラで、
ぼくたちはそれを5つの柱とよんでいます。
前回のコラムでは「社交性」について
「社会と繋がるチカラ」を育もう!という内容でお話しました。
「社会と繋がるチカラ」を育むために、
人との深い関り=楽しいことだけでなく様々な関り
をこどもにさせてあげましょう。
そのためには、ぼくたち大人がこどもの「心の交通整理役」になることが大切です。
ということをお伝えしました。
【前編 こどもに育んであげたいチカラ その5-1】 社交性 ~社会とつながるチカラを育むために~はこちら
今回のコラムでは
「心の交通整理役」について、もう少し詳しくお伝えしたいと思います。
例えばこんなケースがあったとします・・・
今まで家庭で過ごしてましたが、
最近、園に通うようになったAくん。
初めての集団生活で少し不安でしたが、
仲のいいBちゃんというおともだちができ、幼稚園が楽しいと思い始めたところです。
そんなとき、Bちゃんとおもちゃの取り合いでケンカがおきてしまいました・・・。
こうしたケースのときこそ、こどもの「社交性」を育むチャンスです。
みなさんだったら、どのようにこどもとこのトラブルについて考えますか?
ここでのポイントは、
Aくんの場合、幼稚園に通い始めたばかりということもあり、お友だちとの関り方についての経験が浅いということです。
(そもそも幼児期で友達経験が豊富な子もいませんが・・・笑)
お家でおもちゃであそぶとき、
ほとんどの場合がこども対大人(兄弟がいる場合は別ですが)であそぶことがほとんどです。
この場合、
大人はこどもにおもちゃを譲ってあげられるけど・・・
相手はこども、そして、二人ともこどもです。
さらには目の前には二人ともお気に入りのおもちゃがあります・・・
お互いになかなか譲ることができずケンカへと発展してしまったのです・・・。
こどもの成長を一番に考えた時、
ぼくたちはどうこの子たちと関わってあげたらよいのでしょうか。
1.さっとこどもの間に入り、おもちゃをこどもの見えないところに置き、そのケンカを治める?
もしくは・・・
2.同じくこどもの間に入り、「○○ちゃんこのおもちゃがつかいたいんだね。かしてって言うんだよ」と助言をする?
もちろん、年齢によって対応は変わりますが、
1.2 それぞれの問題解決法についてみてみましょう。
1.の解決法について。
そもそもトラブルをなかったことにしてしまう方法です。
この場合、そのあと、ケンカには発展せず、穏便にその場をしのぐことができるかもしれません。
でも、そこにはこども同士の「学び」もなくなってしまいます。
「トラブルが発生した場合、どのように解決していくか」
という経験を奪ってしまうことになりかねません。
2.の解決法について。
この解決法については、それほど悪くないように感じるかもしれません。
ここで気になるところがあるととすれば、
保育者がすぐに「答えを教えてしまっている」という点です。
この場合、
「こどもが自分でどうしたらいいか考える」
という経験をさせてあげらていないことになります。
「こうしたらおともだちとうまくいくんだよ」
という方法は教えてあげられますが、
実際にこどもがその過程を体験できる方が、学びとしては深いものになるはずです。
ここで大切にしてほしいことは、
「こどもにトラブルを解決する体験を積ませてあげること」です。
成功、失敗という軸ではなく、
数として経験を積ませてあげることが大切です。
大人でも
「こうするとうまくいくよ」
と言われて、すぐにできるようになる人はそう多くはありません。
こどもも同じです。
失敗や成功を通し、
「こうすればよかったのか・・・」
「次はこうしよう・・・」
と、感じることがとても大切なのです。
でも、全く放置してしまっては、
「もしかしたら大きなケガに発展してしまうこともあるのでは・・・」
と感じることもあるかもしれません。
そこで、
大人がこどもの「心の交通整理役」になることが大切になってくるのです。
こども同士トラブルが発生し、ケンカが始まろうとして
いるとき、
そこは感情と感情のぶつかり合い。
ぼくたち大人のように言葉でうまく説明することができない状態。
「ぼくがつかうの!」
「あたしがつかいたいの!」
の一点張りで、お互いに状況も把握できていない・・・
そこで、
①「状況の交通整理」を行います。
「どうしてケンカになっちゃったの?」
と、まず、状況についてこどもと一緒に考えましょう。
次に
②「気持ちの解説」です。
この状況では
Aくんは
Aくんが正しい。Bちゃんが間違っている。Bちゃんが意地悪をして悲しい。
Bちゃんは
Bちゃんが正しい。Aくんが間違っている。Aちゃんが意地悪をして悲しい。
と、自分の気持が中心で相手の気持ちが置いてけぼりになってしまっています。
だからケンカになっているのですが・・・(笑)
そこで、落ち着いたトーンで
「Aくんは何が悲しかったの?」
「Bちゃんはどういう気持ちになっておこっちゃったの?」
「そっかAくんは〇〇だったから怒っちゃったんだね」
「Bちゃんは〇〇だったから悲しかったんだね」
と、お互いの気持ちを引き出し、伝えてあげることが大切です。
①でも伝えましたが、こどもは自分の気持ちをうまく伝えることが苦手です。
この状況の中で相手がどう思ったのか、どんな気持ちになってケンカになってしまったのか、
解説者、もしくはインタビューアーといった立場で、冷静に伝えてあげましょう。
ある程度状況をお互いに理解できるようになったら、
あとはこども同士話し合いをさせてあげることもとてもよい方法です。
※話し合いができる年齢などによります。
そのとき大切になってくるのが、
③「信じて見守る」です。
あまり大人が口を出しすぎてしまったり、
解決方向へあせって導かないよう、
こどもの経験を大切に見守りましょう。
大人の出番があるとすれば、最後です。
もし、それでもうまくいかなかったら・・・
④「こどもの心にストンと落ちるまで根気よく伝える」ことも大切です。
「でもさ、Aくんがさ・・・」
「でもBちゃんが・・・」
お互いの言い分はあるでしょう。
誰が悪い、変だ。
じゃなく、
気持ちよくこれからもあそべるように・・・
お互いの気持ちを理解し、共感し、
「じゃあ今度はこうしようか」
「二人の気持ちはわかったよ」
と、お互い、それぞれ気持ちが存在することに気付ければいいのです。
このように、
幼児期のこどもたちには、
答えをだす。
解決方法を見出す。
丸く収める。
ということを目的とせず、
「答えの導き方を経験する」ことを目的に関わってあげることの方が大切なのです。
この経験の積み重ねが
いずれこの子たちが社会と繋がるチカラである、「社交性」を身に着ける機会になるのです。
【こどもの立ち上がるチカラを育む5つの柱について】
やり抜くチカラ
やる氣
自制心
市村 弘貴
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【子育て応援】こどもの「やり抜くチカラ」を育てるためにどんな工夫をしていますか?【ひろき先生のなんでも子育て相談室 第四回 後日談】
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